パンフルート

パンフルートは木製の管に息を吹きかけることで音を鳴らします。ちょうど水を入れたコップに息を吹きかけて音を鳴らすイメージです。音は木管らしいとても優しい音色で和音はとても綺麗に響きます。

 

まずは百聞は一見にしかずということで、ぜひ次の動画をご覧になってください。きっとパンフルートの魅力を感じていただけるかと思います!!

「Believe」は、パンフルート同好会のメンバーとOGとのリモート演奏です。

 


楽器

  • ソプラノ

20の音が出せるパンフルートです。H(シ)から2オクターブ上のG(ソ)まで音が出せます。

  • アルト

22の音が出せるパンフルートです。G(ソ)から上のG(ソ)まで音が出せます(実音は譜面のオクターブ上です)。下の「ソ」と「ラ」が吹けるところが20管のものとの違いです。

歴史

パンフルートは数千年前にギリシャで演奏されていました。この他に中国、南米等にあったようですが、それらの起源が同じであるかどうかは分かっていません。日本の正倉院の御物の中にもあるようです。これは、シルクロードを通って伝わったものと思われます。

 

ギリシャ神話の中では、半獣半人の神、パンが妖精シュリンクスに恋をしますが、嫌がるシュリンクスは河辺に逃げ、そこで葦に姿を変えて隠れてしまいます。シュリンクスを見失ったパンが悲しみにくれ、そこにあった葦を切って笛を作り吹いたのがパンフルートの始まりということになっています。どうも、あまりかっこうのいい神さまではありませんね。ギリシャ神話では、パンの神が、アポロの神と演奏の競争を挑み、アポロのたて琴に負けてしまうという話もあります。

 

このパンフルートは、パイプオルガンの先祖ですが、パンフルート自身は歴史から消えてしまいます。モーツァルトのオペラ「魔笛」で鳥刺パパゲーノが吹いているのはパンフルートですが、実際にはオーケストラのフルートが演奏をしています。モーツァルト自身はおそらくパンフルートを伝説上の楽器だと考えていたと思います。

 

しかし、ヨーロッパの片隅の小国、ルーマニアでは、羊飼いたちの間に細々と伝わり、民族音楽を演奏する楽器となっていました。今世紀になってから、ルーマニアでこの楽器を見直す動きが起こり、国立の音楽大学で正課として取り上げられるようになったそうです。そして、その中から何人もの名人が生まれ、戦後、ザンフィルが西側で演奏活動を始めたことにより、ヨーロッパ全体にパンフルートが再び知られるようになりました。その時、ザンフィルの演奏に衝撃を受けた一人にスイスのヨリ・ムルクがおり、ザンフィルは彼に演奏法のみならず、製法も教授しました。ムルクは多くの弟子を育て、現在、スイスは世界で最もパンフルートを楽しむ人が多い国となっています。広島大学パンフルート同好会の顧問は、ムルクの下でパンフルートの演奏を学び、同好会の奏法もダヨリスクールのものを基本としています。